Kubernetesとは?

投稿者: | 2024年11月24日

Kubernetes(クバネティス、略してK8s)は、コンテナ化されたアプリケーションを自動的にデプロイ、スケール、管理するオープンソースのプラットフォームです。Googleによって開発され、現在はCloud Native Computing Foundation(CNCF)によって管理されています。

Kubernetesは、複数のコンテナを効率的に運用するためのツールで、特にマイクロサービスアーキテクチャを採用したアプリケーションの運用で広く使われています。


1. Kubernetesの基本概念

1.1. クラスター(Cluster)

  • Kubernetesはクラスターを単位として動作。
  • マスターノードで構成。
    • マスター(Control Plane): クラスター全体を管理。
    • ノード: 実際にコンテナを実行するワーカーノード。

1.2. ポッド(Pod)

  • Kubernetesの最小単位。
  • 1つまたは複数のコンテナを含む。
  • 同じネットワークスペースを共有。

1.3. サービス(Service)

  • 複数のポッドに対して一貫したネットワークアクセスを提供。

1.4. デプロイメント(Deployment)

  • アプリケーションの状態(ポッドの数や構成)を定義。
  • スケーリングやローリングアップデートが可能。

1.5. ネームスペース(Namespace)

  • クラスター内でリソースを論理的に分割する仕組み。

2. Kubernetesの主な特徴

2.1. 自動スケーリング

  • アプリケーションの負荷に応じてコンテナを自動的に増減。

2.2. 自己修復

  • 障害が発生したポッドを自動的に再起動や再配置。

2.3. ロードバランシング

  • トラフィックを複数のポッドに分散。

2.4. ローリングアップデート

  • アプリケーションの更新を中断することなく実行。

2.5. ポータビリティ

  • オンプレミスやクラウド環境を問わず、同じ操作性で利用可能。

3. Kubernetesの主なコンポーネント

コンポーネント役割
Master Nodeクラスター全体を管理する制御層。
API Server外部とクラスター間の通信を管理。
Schedulerワーカーノードへのポッド配置を決定。
Controller Managerクラスターの状態を監視し、望ましい状態を維持。
Worker Node実際にポッドを実行する。
Kubelet各ノードでポッドを管理。
Kube-proxy各ノードでネットワークルーティングを管理。
etcdクラスターの状態を保存する分散型データストア。

4. Kubernetesの主な利用例

4.1. マイクロサービスの運用

  • 各サービスを独立したポッドとして管理。
  • 負荷に応じてサービスをスケールアウト。

4.2. ハイブリッドクラウドとマルチクラウドの管理

  • 異なるクラウド環境(AWS、Azure、GCPなど)を統一的に運用。

4.3. CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)

  • アプリケーションのデプロイと更新を自動化。

4.4. 高可用性システムの構築

  • サービスダウンタイムを最小化する自己修復機能を利用。

5. Kubernetesの主なコマンド

コマンド説明
kubectl get pods現在のポッドの状態を確認。
kubectl create -f設定ファイル(YAML)を基にリソースを作成。
kubectl apply -f既存リソースを更新。
kubectl delete podsポッドを削除。
kubectl logsポッドのログを表示。
kubectl describe podポッドの詳細情報を表示。
kubectl exec -it実行中のポッド内でコマンドを実行。

6. Kubernetesのアーキテクチャの概要

  1. Master Node
    • クラスター全体を制御。
    • スケジューリング、監視、状態管理を担当。
  2. Worker Node
    • 実際のコンテナを動作させる。
  3. 分散アーキテクチャ
    • ノード間での負荷分散と冗長化。
  4. etcd(状態管理)
    • クラスター内のすべての情報を保存。

7. Kubernetesのメリットとデメリット

7.1. メリット

  1. 効率的なリソース利用
    • 負荷に応じてリソースを自動調整。
  2. 高可用性
    • 障害発生時の自動復旧機能。
  3. 移植性
    • 異なるプラットフォーム間で一貫性のある運用。
  4. 柔軟なスケーラビリティ
    • トラフィックの増減に対応。

7.2. デメリット

  1. 学習コスト
    • 初心者には概念と設定が複雑。
  2. 運用負荷
    • 適切なリソースとスキルが必要。
  3. 過剰な機能
    • 小規模プロジェクトにはオーバースペックとなる可能性。

8. KubernetesとDockerの違い

特徴KubernetesDocker(単体)
用途コンテナのオーケストレーションコンテナの実行と管理
スケーリング自動的にスケールアウト可能手動でスケール管理
高可用性自動復旧機能を提供なし
複雑性高い(学習コストが必要)比較的簡単

9. Kubernetesを使ったツールとエコシステム

9.1. 管理ツール

  • kubectl: KubernetesクラスターのCLIツール。
  • Lens: Kubernetesを可視化するGUIツール。

9.2. CI/CDツール

  • Jenkins X: Kubernetes向けのCI/CDツール。
  • Argo CD: Kubernetesネイティブのデプロイツール。

9.3. ロギングと監視

  • Prometheus: メトリクス収集とモニタリング。
  • Grafana: ダッシュボードによる可視化。
  • Fluentd: ログデータの収集と転送。

10. まとめ

Kubernetesは、現代のクラウドネイティブなアプリケーションの基盤となる技術であり、特にマイクロサービスやコンテナ化されたワークロードの運用に適しています。自己修復、スケーリング、移植性といった機能を通じて、高可用性と効率的なリソース管理を実現します。

しかし、導入には学習コストと運用負荷が伴うため、プロジェクトの規模や要件に応じた適切な設計が重要です。継続的に進化しているKubernetesを活用することで、柔軟でスケーラブルなシステムを構築できます。