Unreal Engineとは?

投稿者: | 2024年11月24日

Unreal Engine(UE)は、Epic Gamesが開発した高度なゲームエンジンで、ゲーム開発、リアルタイム3Dレンダリング、シミュレーションなどに使用されます。
初めは1998年にリリースされたゲーム「Unreal」で登場し、以降、最先端の技術を取り入れながら進化を続けています。

Unreal Engineは、特にグラフィックスの品質パフォーマンスに優れ、AAAゲーム(大規模な高品質ゲーム)の開発に多く採用されています。現在の最新バージョンはUnreal Engine 5で、NaniteLumenなどの革新的な技術を搭載しています。


1. Unreal Engineの主な特徴

1.1. 高品質なグラフィックス

  • Naniteによる仮想ジオメトリとLumenによるリアルタイムのグローバルイルミネーションを提供。

1.2. クロスプラットフォーム対応

  • Windows、macOS、Linux、iOS、Android、PlayStation、Xbox、Nintendo Switch、VR/ARデバイスなどに対応。

1.3. 強力な物理エンジン

  • Chaos Physicsでリアルな物理挙動や破壊シミュレーションを実現。

1.4. Blueprintによるビジュアルスクリプト

  • コードを記述せずにゲームロジックを作成可能。プログラミング初心者にも適している。

1.5. C++による高いカスタマイズ性

  • 高度な機能やパフォーマンス最適化が必要な場面ではC++を使用。

1.6. オープンソース

  • Unreal Engineのソースコードにアクセス可能で、必要に応じてエンジンをカスタマイズできる。

1.7. 豊富なマーケットプレイス

  • キャラクターモデル、環境アセット、プラグイン、ツールなどが販売されている。

1.8. 非ゲーム分野での活用

  • 映画制作、建築ビジュアライゼーション、自動車シミュレーション、トレーニングシステムなど幅広い分野に応用。

2. Unreal Engineの主な構成要素

構成要素説明
Blueprintノードベースのビジュアルスクリプトシステム。プログラムコード不要でロジックを作成。
C++プログラミングより高度な機能を実現するための低レベルコードサポート。
シーンゲームの世界やレベルを構成するエディター空間。
マテリアルエディターシェーダーやマテリアルをビジュアル的に作成・編集可能。
Sequencerカットシーンやアニメーションの作成ツール。
Niagara高度なエフェクトを作成するためのパーティクルシステム。
Chaos Physics高品質の物理シミュレーションを提供する物理エンジン。
マーケットプレイスユーザーが共有するアセットやプラグインのオンラインストア。

3. Unreal Engineの基本的なコード例

3.1. Blueprintを使った簡単なゲームロジック

例: プレイヤーがボタンを押したらスコアが増えるロジック

  1. ボタンを配置。
  2. Blueprintを作成して、以下のノードをつなぐ。
    • ボタンの「OnPressed」イベントを追加。
    • スコア変数を増加する処理を接続。
    • 新しいスコアをUIに表示。

3.2. C++を使ったプレイヤーの移動

ヘッダファイル(MyCharacter.h)

#pragma once

#include "CoreMinimal.h"
#include "GameFramework/Character.h"
#include "MyCharacter.generated.h"

UCLASS()
class MYPROJECT_API AMyCharacter : public ACharacter
{
GENERATED_BODY()

public:
AMyCharacter();

protected:
virtual void BeginPlay() override;

public:
virtual void Tick(float DeltaTime) override;
virtual void SetupPlayerInputComponent(class UInputComponent* PlayerInputComponent) override;

void MoveForward(float Value);
void MoveRight(float Value);
};

実装ファイル(MyCharacter.cpp)

#include "MyCharacter.h"

AMyCharacter::AMyCharacter()
{
PrimaryActorTick.bCanEverTick = true;
}

void AMyCharacter::BeginPlay()
{
Super::BeginPlay();
}

void AMyCharacter::Tick(float DeltaTime)
{
Super::Tick(DeltaTime);
}

void AMyCharacter::SetupPlayerInputComponent(UInputComponent* PlayerInputComponent)
{
Super::SetupPlayerInputComponent(PlayerInputComponent);
PlayerInputComponent->BindAxis("MoveForward", this, &AMyCharacter::MoveForward);
PlayerInputComponent->BindAxis("MoveRight", this, &AMyCharacter::MoveRight);
}

void AMyCharacter::MoveForward(float Value)
{
AddMovementInput(GetActorForwardVector(), Value);
}

void AMyCharacter::MoveRight(float Value)
{
AddMovementInput(GetActorRightVector(), Value);
}

4. Unreal Engineのプロジェクト構成例

MyUnrealProject/
├── Content/ # アセット(モデル、テクスチャ、サウンド、マテリアルなど)
├── Config/ # 設定ファイル
├── Source/ # C++コード
│ ├── MyUnrealProject/ # プロジェクト用のC++コード
│ ├── MyUnrealProjectEditor/ # エディタ拡張用コード
├── Binaries/ # コンパイル済みファイル
├── Saved/ # 一時データやログ
└── Intermediate/ # ビルドに使用される一時ファイル

5. Unreal Engineのメリットとデメリット

5.1. メリット

  1. 高品質なグラフィックス
    • 最新技術でリアルな表現が可能。
  2. Blueprintの利用
    • プログラミング不要で簡単にゲームロジックを作成。
  3. 広範なプラットフォーム対応
    • コンソールからVR/ARまで幅広く対応。
  4. オープンソース
    • 必要に応じてエンジンの挙動をカスタマイズ可能。
  5. コミュニティとリソースの充実
    • ドキュメント、チュートリアル、フォーラムが豊富。

5.2. デメリット

  1. 学習コスト
    • 高度な機能が多く、初心者には敷居が高い。
  2. 高いシステム要件
    • 高品質なグラフィックスには強力なハードウェアが必要。
  3. プロジェクトサイズ
    • プロジェクトファイルが大きくなる傾向がある。

6. Unreal Engineの主な利用例

6.1. AAAゲーム開発

  • 高品質なグラフィックスと大規模なシステムを必要とするゲーム。

6.2. VR/ARアプリ

  • 高いパフォーマンスが求められる没入型体験。

6.3. シミュレーション

  • 医療、航空、軍事訓練などのリアルタイムシミュレーション。

6.4. 映画制作

  • バーチャルプロダクション(例: 映画「マンダロリアン」)。

6.5. 建築ビジュアライゼーション

  • 建物やインテリアデザインのリアルタイムレンダリング。

7. Unreal Engineのトレンドと最新動向

7.1. Unreal Engine 5

  • NaniteLumenにより、リアルタイムレンダリングの新境地を切り開く。

7.2. メタヒューマン(MetaHuman)

  • 高品質なデジタルヒューマンを簡単に作成可能。

7.3. 非ゲーム分野での活用

  • 自動車、建築、映画産業での需要増加。

7.4. AR/VR技術の強化

  • XRデバイスとの連携がさらに簡単に。

8. Unreal Engineと他のゲームエンジンの比較

特徴Unreal EngineUnityGodot
言語C++、BlueprintC#GDScript、C#
グラフィックス性能非常に高品質高品質中程度
学習コスト高い中程度低い
オープンソース部分的(ソースコード提供)なし完全オープンソース

9. まとめ

Unreal Engineは、高度なグラフィックスとパフォーマンスを必要とするプロジェクトに最適なゲームエンジンです。特に、AAAゲームや映画制作、VR/ARなどの高品質なリアルタイムアプリケーションでその能力を発揮します。

一方で、学習コストやシステム要件が高いため、スキル習得には時間を要することがあります。それでも、豊富なリソースやエコシステムを活用すれば、初心者でも着実にプロジェクトを進めることができます。今後も最新技術を取り入れ続けるUnreal Engineは、ゲーム開発だけでなく、非ゲーム分野でもその存在感をさらに拡大するでしょう。