バックアップとは、システムやデータを災害、障害、人的ミスから保護するために複製を作成して保存する行為です。バックアップは、データの損失や破損が発生した際にシステムやデータを復元するための重要な手段です。
バックアップは個人のデバイスから企業のITインフラまで、さまざまな規模で実施され、業務の継続性(BCP)やデータ保護において欠かせないプロセスです。
1. バックアップの目的
- データ損失の防止
- ハードウェア障害やソフトウェアエラーによるデータ消失を防ぐ。
 
 - 災害復旧
- 自然災害(地震、洪水、火災など)によるデータ喪失からの復旧を可能にする。
 
 - 人的ミスの回復
- ユーザーや管理者による誤削除や誤操作をリカバリー。
 
 - ランサムウェア対策
- マルウェア攻撃によるデータ暗号化や破壊からの復旧を確保。
 
 - 法的要件の遵守
- 法規制に基づき、特定の期間データを保持。
 
 - 業務継続性の確保
- ビジネスクリティカルなデータやシステムを短時間で復旧し、業務停止を最小限に抑える。
 
 
2. バックアップの種類
| 種類 | 説明 | 例 | 
|---|---|---|
| フルバックアップ | データ全体を丸ごとコピー。 | 全システムの完全なコピーを毎週取得。 | 
| 増分バックアップ | 前回のバックアップ以降に変更があったデータのみを保存。 | 月曜にフルバックアップを取得し、火曜から金曜までは増分バックアップを取得。 | 
| 差分バックアップ | 最後のフルバックアップ以降に変更があったデータのみを保存。 | 月曜にフルバックアップを取得し、その後の変更分を日々追加保存。 | 
| ミラーリング | データをリアルタイムで別のストレージに同期。 | NAS間でデータを即時ミラーリング。 | 
| スナップショット | データやシステムの状態を特定時点で保存。 | 仮想マシンのスナップショットを毎日取得。 | 
| クラウドバックアップ | クラウドストレージにデータを保存。 | AWS S3やGoogle Driveへのバックアップ。 | 
| システムイメージ | OSやアプリケーションを含むシステム全体のコピー。 | Windowsの「システムイメージの作成」機能を使用。 | 
3. バックアップの保存場所
| 保存場所 | メリット | デメリット | 
|---|---|---|
| ローカルストレージ | 簡単にアクセス可能、低コスト | 災害時に失われるリスクがある | 
| 外付けストレージ | 手軽に導入可能、移動性が高い | 持ち運び中の破損リスクがある | 
| ネットワークストレージ(NAS) | チーム全体でデータを共有可能 | 初期コストが高い、ネットワーク依存 | 
| クラウドストレージ | 災害対策に強い、スケーラビリティが高い | インターネット接続が必須、月額料金がかかる | 
| オフサイトストレージ | 異なる物理的場所にデータを保存 | 保守や移動が煩雑 | 
4. バックアップ戦略
4.1. 3-2-1ルール
- 3つのコピーを作成(元データ+2つのバックアップ)。
 - 2つの異なるメディアに保存(例:ローカルとクラウド)。
 - 1つはオフサイトに保管(例:遠隔地のデータセンター)。
 
4.2. 差分・増分戦略
- フルバックアップを定期的に取得し、変更分を差分または増分で保存する。
 
4.3. データ優先順位付け
- クリティカルデータ(業務データ、財務データなど)は高頻度でバックアップ。
 - 非クリティカルデータ(一時ファイル、キャッシュ)はバックアップ対象外に設定。
 
4.4. 自動化
- スケジュールを設定し、自動バックアップを実施する。
 
5. バックアップツールの例
| ツール名 | 特徴 | 
|---|---|
| Acronis Cyber Protect | データバックアップとサイバーセキュリティが統合されたソリューション。 | 
| Veeam Backup & Replication | 仮想マシンや物理環境、クラウドのバックアップをサポート。 | 
| CloudBerry Backup | クラウドストレージへのバックアップに特化。 | 
| Bacula | オープンソースのエンタープライズ向けバックアップソリューション。 | 
| Time Machine | macOS専用のバックアップツール。 | 
| Google Drive/OneDrive | 個人向けクラウドバックアップツール。 | 
| rsync | Linux系システムでのコマンドラインツール。ローカルおよびリモート同期が可能。 | 
6. バックアップのメリットと課題
6.1. メリット
- データ保護
- 災害や障害からデータを守り、事業継続性を確保。
 
 - 業務復旧
- 障害発生時の復旧時間を短縮。
 
 - 法的コンプライアンス
- データ保持要件を満たし、法規制に対応。
 
 - 安心感
- ユーザーや企業に安心感を提供。
 
 
6.2. 課題
- コスト
- ストレージやソリューション導入にはコストがかかる。
 
 - 管理の煩雑さ
- データ量増加に伴い、バックアップ計画が複雑化。
 
 - セキュリティ
- ランサムウェアや不正アクセスによりバックアップ自体が危険に晒される可能性。
 
 - 復元テスト
- 実際の復元が期待通りに機能するか定期的な確認が必要。
 
 
7. バックアップのベストプラクティス
- 定期的なバックアップ
- データ変更頻度に応じたスケジュールを設定。
 
 - バックアップの暗号化
- データ漏洩を防ぐため、保存時および転送時に暗号化。
 
 - 復元テスト
- 定期的に復元テストを行い、バックアップの有効性を確認。
 
 - 複数の保存場所
- オンサイトとオフサイトの両方にバックアップを保管。
 
 - クラウドとの併用
- ローカルとクラウドを組み合わせ、信頼性を向上。
 
 - ランサムウェア対策
- 不可変更なバックアップ(immutable backup)を導入。
 
 
8. バックアップと災害復旧の違い
| 項目 | バックアップ | 災害復旧(DR: Disaster Recovery) | 
|---|---|---|
| 目的 | データ保護と復元 | システム全体の復旧 | 
| 範囲 | ファイルやデータ単位 | システム、インフラ全体 | 
| 速度 | 比較的早い | 大規模な復旧は時間がかかる場合がある | 
| 保存場所 | オンサイト、クラウド、外部ストレージ | オンサイト+オフサイトのデータセンターが一般的 | 
| コスト | 低コストで導入可能 | 初期費用や運用費用が高い | 
9. まとめ
バックアップは、個人や企業がデータを保護し、事業や活動を安定的に続けるための基本的な手段です。バックアップ戦略を効果的に計画・実施することで、データ損失や災害による影響を最小限に抑えることができます。
特に、3-2-1ルールやクラウドバックアップの活用、復元テストの実施などを取り入れることで、バックアップの信頼性を向上させることが可能です。適切なツールやベストプラクティスを導入し、バックアップ戦略を常に改善し続けることが重要です。
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